メープルだより
「私は亀だから大丈夫!」
Vol.6 2013年10月
みなさんいかがお過ごしですか? 針葉樹が多いバンクーバーにも街のところどころに赤、黄色と目を見張るような紅葉が、青空に映える季節になってきました。そして10月31日はハロウイーン。かぼちゃをくり抜いてランタンを作ったり、子どもたちは思い思いに仮装の準備を始めています。
さて突然ですが、みなさんは「しまったぁ」と心に緊張が走ったとき、助けられた経験はありますか? 今回は相手の一言で「ほっ」と胸をなで下ろし、心が温かくなった話をします。
子どもとミュージカルを観に行った時の事です。普段はジーンズとスニーカーの私も、この時ばかりとオシャレをして、高いヒールの靴を履き、開演を待つ列に並んでいました。子どもがふざけ始めたので、止めようとしたところ、後ろに並んでいた男の人の足を思いっきり踏んでしまいました。踏んだ瞬間、細いヒールですから、さぞかし痛かっただろうと思わず“I’m so sorry!”(ごめんなさい!)。「わぁ、どうしよう。怪我はなかったかなぁ」と心配しながら、すぐに“Are you OK?”と聞きました。すると返ってきた言葉が、“Don’t worry. I am a turtle!”と。「亀の甲羅は硬いから踏まれても大丈夫だよ」と、顔に笑みを浮かべながらユーモアを交えて言ってくれたのです。凍り付いていた気持ちが一瞬に解けて、漂っていた空気がなごやかに変わりました。
次の話は、郷里の群馬県吉井町で、毎年夏に中学生をカナダのカルガリーに派遣し、ホームステイをしながら海外経験をさせる行事があり、その団長として付き添われた天田校長先生が、話してくださったエピソードです。
乗り継ぎのために降りた、混雑する広大なバンクーバー空港内での出来事。アジア系高年男性がよそ見をしながら歩き、振っていた手が、その人の前を歩く欧米系高年女性のお尻に当たってしまったそうです。その男性は「あっ」とばかりに自分の手を見、そして、恐縮の表情をその女性に向けたそのときです。女性は、ニッコリと笑いながらおおらかに、“Oh, you are happy!”(あなたは幸せね)と一言。それを聞いた男性は表情をやわらげ、笑いながら軽く“sorry”と言い残して、何事もなかったように女性を追い越していったのだそうです。このお話も心温まりますね。お尻を触られるという失礼な行為を、落ち着いて状況判断をし、相手を攻めることなく、ユーモアで切り返すその余裕。すばらしいですね。
人と人との関係が希薄になり、ちょっとしたことで相手を攻めがちな今日この頃。普段の生活の中に相手への思いやり、相手への心遣い、相手の立場を理解しようとする心の余裕、時間の余裕を持って、心豊かに暮らしたいものですね。
みなさんの心の温度は何度ですか? 山田 宏美
さて突然ですが、みなさんは「しまったぁ」と心に緊張が走ったとき、助けられた経験はありますか? 今回は相手の一言で「ほっ」と胸をなで下ろし、心が温かくなった話をします。
子どもとミュージカルを観に行った時の事です。普段はジーンズとスニーカーの私も、この時ばかりとオシャレをして、高いヒールの靴を履き、開演を待つ列に並んでいました。子どもがふざけ始めたので、止めようとしたところ、後ろに並んでいた男の人の足を思いっきり踏んでしまいました。踏んだ瞬間、細いヒールですから、さぞかし痛かっただろうと思わず“I’m so sorry!”(ごめんなさい!)。「わぁ、どうしよう。怪我はなかったかなぁ」と心配しながら、すぐに“Are you OK?”と聞きました。すると返ってきた言葉が、“Don’t worry. I am a turtle!”と。「亀の甲羅は硬いから踏まれても大丈夫だよ」と、顔に笑みを浮かべながらユーモアを交えて言ってくれたのです。凍り付いていた気持ちが一瞬に解けて、漂っていた空気がなごやかに変わりました。
次の話は、郷里の群馬県吉井町で、毎年夏に中学生をカナダのカルガリーに派遣し、ホームステイをしながら海外経験をさせる行事があり、その団長として付き添われた天田校長先生が、話してくださったエピソードです。
乗り継ぎのために降りた、混雑する広大なバンクーバー空港内での出来事。アジア系高年男性がよそ見をしながら歩き、振っていた手が、その人の前を歩く欧米系高年女性のお尻に当たってしまったそうです。その男性は「あっ」とばかりに自分の手を見、そして、恐縮の表情をその女性に向けたそのときです。女性は、ニッコリと笑いながらおおらかに、“Oh, you are happy!”(あなたは幸せね)と一言。それを聞いた男性は表情をやわらげ、笑いながら軽く“sorry”と言い残して、何事もなかったように女性を追い越していったのだそうです。このお話も心温まりますね。お尻を触られるという失礼な行為を、落ち着いて状況判断をし、相手を攻めることなく、ユーモアで切り返すその余裕。すばらしいですね。
人と人との関係が希薄になり、ちょっとしたことで相手を攻めがちな今日この頃。普段の生活の中に相手への思いやり、相手への心遣い、相手の立場を理解しようとする心の余裕、時間の余裕を持って、心豊かに暮らしたいものですね。
みなさんの心の温度は何度ですか? 山田 宏美